質問

11. 依頼した弁護士が相手の言うことばかり聞くとか、無理矢理和解させられたとかいう話を聞いたことがあります。本当ですか?

弁護士は、「ご依頼いただいた方にとって一番良い方法は何か」ということを常に考えています。しかし、弁護士の目から見て一番良い方法が依頼者の皆様の希望と合致しないことがあるのも事実です。お医者さんに喩えれば「良薬口に苦し」というところでしょうか。

本当のことをいうと、弁護士にとっても、依頼者の皆様の言われるがままに仕事をするのが一番楽なのです。しかし、法的に勝ち目のないことについては「勝ち目がない」とはっきり言わねばなりません。また、紛争の解決のために「名を捨てて実を取る」方が良いとアドバイスをさせていただくこともあります。そうしないと、結局損をされるのは依頼者の皆様ですから。そして、このような立場で仕事をするからこそ、弁護士だけが費用をいただいて皆様のトラブルを解決することが認められているのです。ただ、お医者さんの世界と同様、弁護士の世界でも「インフォームド・コンセント(※1)」が重要になってきていると思います。「俺の言うことを黙って聞け」というのではなく、なぜそれが一番良い方法なのかを丁寧に説明させていただき、質問にあるようなご不満をお持ちになられないよう努力していきたいと考えております。

※1. インフォームド・コンセント【informed consent】
患者が医師から治療法などを「十分に知らされた上で同意」すること。医師側が患者の権利を無視して自分たちの都合だけで医療を行うことができないようにと、欧米では1960 年代に確立した概念。日本では、90 年(平成2 年)に日本医師会生命倫理懇談会が「説明と同意についての報告」を出してから一般的になった。

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